オイルパステルで描いた絵は保護が必要
突然ですが、オイルパステル画の保護ってどうしていますか?
素材の性質上、オイルパステルは乾燥しない画材なので、
手で触っただけで作品が崩れてしまう
ゴミやほこりが付着したら簡単に取り除けない
なんてことがあります・・・
なので、持ち運びも慎重にしないと、せっかく描いた絵が台無しになりかねません。
どんなに気をつけていても、誰しもミスはあるもので
何度か失敗してしまったことがあります。
このブログを読んでいる方の中にも、同じような経験をされた人がいるのではないでしょうか?
今回の記事では、不慮の事故を防ぐためにオイルパステルの保護方法についてお話していきたいと思います。
そもそも何で、オイルパステルは乾かないの?
オイルパステルがいつまでも乾燥しない理由。それは・・・
ずばり、絵の具を固着させる成分が入っていないからです。
油絵の具は乾性油、
アクリル絵の具はアクリル樹脂+水分
といった、顔料を紙やキャンバスに塗るための接着剤(展色剤)が使われています。
その接着剤が、最終的に酸化・水分が蒸発し固まることで絵の具が画面に固着されていきます。
(固まる過程はそれぞれの画材で異なります)
それに対し、オイルパステルは蝋や液体油といった接着材が使用されています。
蝋や液体油は固まることが無いので、いつまでも固着されずに柔らかい状態が保たれているのです。
次の項からはオイルパステル画の保護方法について説明していきたいと思います!
オイルパステル画の保護方法① クレヨンコート
クレヨンコートとは?
オイルパステルやクレヨン用のスプレー型の保護剤です。
合成樹脂を絵の表面に吹き付け、被膜を作って絵を保護します。
「パステル用フィキサチーフ」と混同されがちですが、
オイルパステル・クレヨン用として販売されているものを使用しましょう。
パステル用フィキサチーフも販売されていますが、そちらはソフト・ハードパステルなどと言った、接着剤(顔料を紙やキャンパスに塗るための素材)が含まれていないパステルに対してのフィキサチーフです。
オイルパステルに使うことはできますが、オイルパステル・クレヨン用とパステル用のフィキサチーフでは、保護する原理が異なってきます。
各画材メーカーの販売するクレヨンコート
各社の販売名称はこちらです。
メーカーによって名称は異なりますが、基本的に同じ用途です。
メーカー | 製品名 |
ホルベイン | クレヨンコート |
サクラクレパス | クレパスワニス テクニカルコート・フィニッシュコート |
セヌリエ | オイルパステルフィキサチーフ |
サクラクレパス社のクレヨンコートは加筆用と仕上げ用がある
クレヨンコートは、販売メーカーによって、加筆用・仕上用の二種類に分けて販売されています。
これに該当するのが、サクラクレパス社から販売されている
クレパスワニステクニカルこーとフィニッシュコートがこれに該当します
メーカーによっては、一種類のみ販売している場合もあります。
加筆、仕上げ用を取り扱っているのは、サクラクレパス社の
クレパスワニスがこれに該当します。
加筆用はテクニカルコートと呼ばれています
仕上用はフィニッシュコートと言います。
どちらも、構成成分は同じですが、合成樹脂の濃度が違います。
テクニカルコートの方が樹脂の濃度が濃く、厚く被膜が作れるため、混色を防ぐことができるそうです。
ホルベインやセヌリエからも、オイルパステル専用のフィキサチーフが販売されています。
そちらは一種類しか出ていないので、制作の途中で使う場合は、複数回吹き掛けて厚めに被膜を作るのもありかもしれませんね。
クレヨンコートの使い方
①換気の良いところに行く
クレヨンコートは石油系溶剤が使われているので、正直いってかなり臭いです笑
あと長時間吸い込むことで有害性があると言われています。
さらに、合成樹脂をスプレー状に噴霧しているわけなので、ペットがいる場所でもNGです。
もし、ハムスターや鳥さんなどの小動物が、合成樹脂が含まれた空気を吸い込んでしまったら・・・、なんてあんまり想像したくないですよね ^^;
オススメは玄関の外でやるか、ベランダや庭で窓を閉めた状態でやることですね。
あと、当然ですが火器厳禁です!燃えます!
②何もないところで一度スプレーする。
いきなりスプレーを吹きかけると、噴出口に付着した合成樹脂の塊が付着してしまうことがあります。一度、何もないところで空吹きしてから使いましょう。
③絵から30〜40cm離し、均一にスプレーを吹き付けていく。
絵とスプレーの距離が近すぎると、液垂れします。
しかも、石油系溶剤なのでオイルパステルが滲んでしまうという、おまけ付きです。
また、同じ場所にずっと吹き付けていても、液垂れします。気になる方は是非やってみてください。
手首だけ動かして吹きつけるのではなく、腕全体を使って、上下左右と均一になるようにしていきましょう。
④乾かす
全体に吹きつけられたら、乾かします。
溶剤が揮発するのを待つだけなので、室内に置いても大丈夫だと思いますが、しばらくは絵から石油の匂いがするので、換気をしていた方が良いです。
早くて5分、遅くても20分もあれば乾くと思います。
軽く触って手にオイルパステルがつかなければOKです。
厚塗りしたときや、一回吹きつけたけど手にオイルパステルが付着してしまう場合は、
もう一度①からの行程を繰り返します。
オイルパステル画の保護方法② クレパスワニス(液体)
クレパスワニスとは?
一言でいえばクレパス専用のニスです。
ターレンス社から販売されている、画溶液 クレパスワニス サテンがあります。
フィキサチーフが、画面に定着液を吹き付けるのと違い、
クレパスワニスは、画面に直接ニスを塗って被膜を作ります。吹き付けるよりも、より厚く被膜を作ることが出来ます。
フィキサチーフで保護した後も触れると手にパステルが付着してしまうことがありますが、クレパスワニスは手で触ってもパステルが付着することはありません。
表面の保護力は圧倒的にこちらのが強いです。
クレパスワニスの使い方
①最初に、クレヨンコートで表面を保護しておく
正直なところ、やってもやらなくても良いです。
クレヨンコートを吹きつけて乾かすのがめんどくさい人は省略しても良い行程です。
ですが!やっておくと良いメリットもあります。
それはオイルパステルが滲まないことです。理由は②の項目で説明します。
②刷毛でワニスをできるだけ均一に塗っていく
ワニスを絵全体に塗っていくのですが、なるべくムラがなく均一になる様に塗っていきます。
ここで、①の一手間が生きてきます。
刷毛で何度も絵の表面を往復していると、オイルパステルが滲んでワニスに溶け込んでしまう場合があります。
あと、①の工程を省略して場合、オイルパステルの表面は何の保護もされていない状態なのに
刷毛で上から撫でているような状況です。
刷毛の先端がオイルパステルを擦ってしまうのは何となく想像していただけるでしょうか。
厚塗りをしていた場合、表面が崩れる原因にもなってきます。
慎重に優しく、素早く均一に塗れたら大丈夫かもしれませんが、①はできたらやっておいた方が良いです。
③乾かす
自然乾燥でも良いですが、私はドライヤーを使ってさっさと乾かす派です。
乾燥するまでの間、表面はベタベタしているので、ホコリとかが付着しやすいのです。
しかも、半乾きの状態でホコリや汚れが付いてしまった場合、そこだけ取り除くことが難しいです。
依然、髪の毛が付いてしまったことがあって、取り除こうとしたら周りのオイルパステルもまきこんで、ベリっと剥がれてしまったことがあります。
なので、乾燥させる際はなるべく短くすることをおすすめします。
フィキサチーフと違ってクレパスワニスは光沢が出ます。
製品としては「半光沢」と謳っていますが、実際それなりの光沢が出ます。
保護力は強いので、がっちり保護したい、光沢あっても全然OK!なんて人に向いているかもしれません。
光沢の無い、マット調な仕上がりが良いひとはフィキサチーフをおすすめします。
まとめ
今回の内容を大きくまとめると、
①オイルパステルで描いた絵は乾燥しないので、保護が必要
②保護する方法は、クレヨンコートとクレパスワニスの2種類
③クレヨンコートは、換気・液タレに注意!なるべく均一に吹きつけること
④クレパスワニスは、塗る前にクレヨンコートで保護をする。塗った後は埃がつかないように注意すること
ポイントは上記の4点です。
表面を保護する事で色移りなどを気にせず、長期間楽しむことができます。
機会があれば、制作中の作品をどのように保護しているかも今後お話ししていきたいと思います!
また、制作途中の作品の保護に付いても今後お話していきたいと思っています。
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